ニッポンの新時代『令和』は大嘘と大騒ぎに包まれ、5月1日に幕開けを迎えました。奇遇なことに、新しい元号の発表日はエイプリルフール(April Fools’ Day) と重なりました。エイプリルフールとは毎年4月1日には嘘をついても良いという西洋の伝統で、政府にとっては「令和」が「美しい調和(Beautiful Harmony)」を意味するというインチキ仮説を国内外で広める絶好の機会でした。文字通りに解釈するならば「命令と平和」。ついジョージ・オーウェルの陰鬱な小説を連想してしまいます。
もちろん、国民の大半は政府説明の胡散臭さを見抜いているばかりか、驚きもしませんでした。2019年1月の時点では、日経新聞の世論調査で、「政府の統計を信用しない」と答えた人は79%でした。
つまり、日本人の五人に四人は政府が発表する統計が事実だと思っていません。オオカミ少年政権といえるでしょう。その背景には、安倍政権が2014年5月30日の内閣人事局設置以来、官僚を手懐けてきたことが挙げられます。また飴と鞭でマスコミを支配しているだけでなく、公文書の廃棄·改ざんなども許しています。いや、「許している」というよりも共謀者にご褒美を与えて出世させています。この時勢で、不正を嫌って自殺する官僚は英雄です。森友学園関連の文書改ざんを倫理的に許せなかった英雄ですが、政府に全く賞賛されない英雄ですが。真実とともに葬られた被害者です。全面的に違法行為に加担し、偽証までしてくれた財務省の佐川宣寿・元理財局長は処罰されるどころか、隠蔽工作の腕前が認められ、出世の階段を早々と登りました。
しかし、安倍総理と右腕の管官房長官らが不都合な事実の隠蔽工作を全部官僚に任せっきりというわけではありません。仲間のためなら強姦容疑の捜査も中止したりするなどして(ご参照→安倍総理の太鼓持ちジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんレイプ疑惑 なぜ逮捕状は中村格刑事部長によって止められたのか――? 超党派の国会議員が警察庁・法務省を徹底追及!)「上級国民」の防衛に奔走しています。安倍総理内閣の人々は自己利益及び仲間の利益を死守するには、「嘘も方便」と弁えている勇者です。
確かに人間は嘘をつく生き物だといいますが、いくら自分自身に嘘をつき、さらには国民にまで騙せたとしても、いずれは現実という不都合にぶち当たるでしょう。
『クールジャパン』改め『クルールジャパン”Cruel Japan”』
非情な国の行く末
ここ数年日本政府は“クールジャパン”の名の下観光大国のイメージを全面に押し出してきました。しかし現実はといえばヒトラー狂の金持ちらが国を操り、報道の自由は勢いよく右肩下がり、蔓延る貧困問題、公的文書改ざん、あとを絶たない過労死、腐敗しきった官僚主義、そして中世から変わらない司法制度と、まるでパンドラの箱の開けてしまったかのような惨状が広がっています。そこに追い打ちをかけるかのように、福島のメルトダウンをものともせず原発再稼働を急ぐ政府はあっぱれとしか言いようがありません。
もちろん、人口減少に高齢化も忘れてはなりません労働環境はといえば、低賃金、産休もろくに取れず(父親の育休など論外)、慢性的な保育園不足に過度の長時間労働。そんな生活では男女ともに恋愛、結婚ましてや子育てなど望めるはずがありません。
シングルペアレントとして子育てなどもってのほかです。もし女性がシングルマザーとなった場合、50%の確率で貧困ライン以下の生活を強いられるでしょう。人手不足で倒産を余儀なくされる企業も後を絶ちません。
人手不足ともなれば女性の躍進を期待しそうになりますが、男尊女卑大国ニッポンではそうもいきません。世界経済フォーラムの2018年の男女平等格差調査で149ヵ国中、日本は110位でG7最下位です。
今後ますます深刻化する人手不足への対策として政府は外国人労働者受け入れを拡大する計画を推し進めています。しかしこれまでに沢山の外国人労働者が搾取されてきた技能実習制度の問題点を置き去りにしたこの政策は、根強い外国人嫌いが蔓延する日本では失敗に終わること間違いありません。
令和のハイライトとなる2020年東京オリンピックですが、安倍首相は自身のレガシーに華を添えてくれると期待しているのでしょう。
そんなオリンピックですが、賄賂で招致した上、ヤクザも絡む堕落っぷり。さらには誘致時想定予算の7,000億円が、いつの間にか「3兆円」まで膨れ上がっています。極めつけに開催は真夏の8月、酷暑の中日射病による死者、さらには対応に追われる病院を襲う数々の危機は計り知れません。
また、トリクルダウン理論に則ったアベノミクスも失敗とみなされ始めていいます。東京商工リサーチによれば、中小企業の倒産は上昇傾向にあり、アベノミクス成功論はそもそも改ざんされたデータを根拠にしている可能性も否めません。
一方、政府が年金資金を用いて日本の株式市場を底上げしようとした結果、高齢化する国民が年金を受給できなくなる危険性が浮上しています。 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は今年2月、昨年10~12月期で14兆8039億円(うち半分は国内のシェア)の運用損が出たと発表しました。このような損失が続けば、高齢者への年金支給への支障をきたすと見られています。
令和の未来はそう明るくありません。
名前に込められた意義
令和時代は4月30日、平成天皇陛下の生前退位によって始まりました。安倍政権は平成天皇の生前退位に反対されていましたが、遂に阻止することはできませんでした。
平成天皇が生前退位の意志を表明した結果、安倍政権の改憲運動に歯止めがかかりました。天皇は国の象徴として力強い存在です。天皇が日本人の日常生活に登場することも多く、天皇にまつわる祭日は5つもあります。使い勝手が面倒臭くても「元号」は意義深いものです。
一方、安倍総理と仲間らは神道的カルト集団でも右翼系圧力団体でもある「日本会議」に支えられています。日本会議が米国の”押しつけ憲法”
を排除して帝国時代の憲法を復活させたいのです。日本会議の息が掛かった政治家にとって、一番気に喰わない現代日本の思想といえば「基本的人権」「平和主義」「国民主権」です。安倍総理と彼が任命した 大臣らが信仰としていることは基本的に5つです。
①日本は神の国である
②第二次世界大戦で防衛戦であり、日本に戦犯はない
③再び天皇を元首にして神様として崇拝すべき
④ 少子化の悪因は男女平等主義である
⑤米国の押しつけ憲法が日本をだめにしている
皮肉なことに平成天皇は80歳の誕生日記者会見で、米国へ感謝の意を述べて憲法·平和主義の大切さを訴えました。 平成25年12月18の宮殿石橋の間で次のように話しました。「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」。
平成天皇は30年の公務の中で繰り返して平和憲法を守る重要性をアピールしてきました。「押しつけ憲法」解体を企む安倍総理らとは対照的です。安倍総理だけでなく、日本会議と自民党の一部にとっては、天皇陛下の存在そのものが邪魔者だったようです。安倍総理らが天皇陛下を神様と崇拝しながら、その神様の発言が彼らの政策に反対しているので、困っていたでしょう。続く令和天皇(徳仁天皇陛下)も平和主義者のようです。「歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」(令和元年5月1日)
非常に不思議なことです。日本会議や安倍総理らは天皇陛下を神様と崇拝しながら神様のいうことを聞かぬのです。それは一種の冒涜ではないでしょうか。
安倍総理が理想としている国を知りたければ、このビデオを見て下さい。戦慄を覚えるはずです。平成24年5月10日、憲政記念館にて行われた自民党内の「創生日本の研修会」での様子です。
その中で、第一安倍政権(消化が悪かった第一安倍政権)の長勢甚遠元法務大臣が憲法から「平和主義、国民主権、基本的人権削除しよう!」と言っています。素朴な疑問ですが、憲法の精神と基本的人権を否定する輩を法務大臣に任命する安部総理には果たして良心というものがあるのでしょうか。
ビデオを見ると、元法務大臣らが「国民主権、基本的人権、平和主義…この3つを無くさなければ、ほんとの自主憲法にならない」と叫び、出席者からは拍手が鳴り響いています。平和憲法を守ろうと誓った平成天皇が拍手するはずがあるでしょうか。
余談メモ·この会議で、「尖閣諸島を取り戻せ」と叫ぶ人もいたようです。それは基本的には賛成です。不当にも「反日」と後ろ指を指される私からしても、個人的には尖閣諸島を中国から守ることは大切だと思います。明らかに尖閣諸島は日本の領土ですから。それだけは間違いないでしょう。
「令和」誕生まで
令和という元号はどのように決定されたのか明らかではありません。しかし文字通りに解釈するのが妥当といえるでしょう。「令」は「命令」の「令」です。複数の文献をみると次のような意味でよく知られています。
①「命ずる」、「いいつける」
②「法令などを世の中に広く知らせる」
③「みことのり(天皇の命令)」、「君主(国を治める人)の命令」
また「令和」の「令」は「箝口令」の「令」でもあり、「逮捕令状」の「令」でもあります。「和」は表向きに「平和」の「和」で「穏やか」「なごむ」などの意味です。口の部首と米の穂先が茎の先端に垂れかかるイメージから出てきた漢字といわれてます。また、もう一つ「やまと(日本)」の意を持ち合わせています。つまり、「日本人よ、命令に従えば平和ですよ」というような意味合いではないでしょうか。「万葉集から引用された」という説明はおそらく後付けでしょう。一部の新聞報道を読んでみると、実際、新しい元号を「令和」と決めたのは安倍総理です。彼のまったくの独断で「令和」となったのです。しかしここまでくれば、それも想定内のことでしょう。この記事を御覧ください。
↘安倍首相が統計不正追及に「だから何だってんだ!」と逆ギレ野次!「私が国家」とまた独裁発言もポロリ
本題に戻りましょう。「命名」という行為にはどれだけ意味があるのでしょうか。確かに安倍政権は命名の達人です。特に名前と全く反対の意味を持つ法律の作成·立法化には腕が成るようです 。危険すぎるとして何回も見送られた「共謀法」を「テロ対策特別措置法」と名前を変えて無理矢理議会を通しました。この法律によって捜査·逮捕の対象となる「共謀罪」対象犯罪は277種類に上ります。やはり、「無資格スポーツ振興投票」などのテロ行為を厳密に処罰しなければ、この国は終わりですね。SNSも対象となるので、「テロ関連情報」と見なされる呟きを拡散しただけでもアウトかもしれません。
しかし、安倍政権流のダブルスピーク(受け手の印象を変えるために言葉を言いかえる修辞技法)は日本製のウイスキーのように毎年、質が上がります。「働き改革」法は数千人から残業代の権利を奪い、一ヶ月の残業時間を100時間と限定したものです。しかし、それは厚生労働省の過労死ライン(80時間)を20時間も超えているのです。また、安倍政権のダブルスピークの中では、戦争行為を可能にした安全保障関連法「戦争法」がやはり傑作でした。
安倍政権の「令和」の世界では、まるでジョージ·オーウェルの小説「1984年」内で描かれた社会が現実となりまそうです。もうそろそろ学校の教科書では「戦争は平和である(WAR IS PEACE)。安保法は平和主義の法律」「自由は屈従である(FREEDOM IS SLAVERY)。残業代は鎖」
「無知は力である(IGNORANCE IS STRENGTH)。自由民主党は報道の自由と国民主権を大事にしている」とか明記されることでしょう。
詰まるところ、安倍政権のこれまでの言動を考慮すると、安部総理が「令和」の意味を「綺麗な調和」(Beautiful Harmony)」と語るならば、まず疑ってみた方が良いのではないでしょうか。
「綺麗な調和(Beautiful Harmony)」よりも「暗闇の虐政(Stark Tyranny)」の意味合いが込められているかもしれません。
あまり知られていませんが、令和天皇は歴者学者です。歴史から学び、二の舞いを演じないよう平和主義と基本的人権を肯定的に考えているわけです。安倍総理は戦犯として逮捕された故·岸信介元総理大臣の孫だけでなく岸元総理の生まれ変わりのような歴史修正主義者です。だからこそボンボン総理は歴史から何も学べずに原発を再起動させてひたすら日本を暗黒時代へ取り戻そうとするわけです。このままいけば「令和」は「美しい日本」の暗黒時代の幕開けとなるでしょう。
メモ・この記事一部はThe Daily Beast 5月1日付け「Japan Has a New Emperor and a New Era, but a Dark Future」を引用しているが、直訳ではありません。ご了承下さい。