日本国首相・安倍晋三総理は8月28日、辞任を発表しました。健康上の理由とされるが、もう一つ、理由がある。劣悪で不健全な環境の刑務所暮らしを思って怖気づいているのだ。
記者会見で安倍総理は辞任の理由として潰瘍性大腸炎の辛い病状に言及したが、支持率が急落し、自らの関わる刑事事件の捜査が進む中での辞任である。それ以外の事件の再捜査を求める世論も高まっている。
安倍総理は辞任したのではなく、逃亡したのだ。
安倍総理は、公職選挙法違反で検察の捜査下にある。そして同様の公職選挙法違反で、安倍総理が自ら抜擢した前法務大臣(河合克行被告)は目下、東京地裁において公判中である。この公判では、安倍総理がこの事件にも関与していたことを示す証言も出るかもしれない。
辞任に追い込まれるまで刑事捜査の手から自分を守ろうとする安倍総理の骨折りは水泡に帰した。
ある自民党の重鎮が匿名を条件にデイリー・ビーストに語った。「安倍総理が検察庁に自分の選んだ検事(黒川弘務元検事)を送り込めていれば、今も権力にしがみついていただろう。安倍総理が警察庁の次期長官に選んだ中村格(元警視庁刑事部長)は今月になって候補を外されたから、安倍総理は検察にも警察にも検挙される可能性があると恐れている。辞任することで疑惑の目から逃れることができる」中村氏は安倍総理と親しいの伝記作家による強姦事件の捜査を打ち切らせた警察庁の高官である。
法務省の情報筋がデイリー・ビーストに語った。「手打ちがあった模様だ。安倍総理は『社会的制裁』に甘んじて辞任し、数々の刑事事件に関与する安倍総理への取調べは終わる」元特捜検事の郷原信郎氏は「安倍総理の関与が争点となるであろう刑事事件の公判が始まったその週に辞任するのは偶然とは思えない」と言う。
The Tweet of Defeat (政権打倒のツイート)
今年に入り、世論調査で安倍政権の支持率は27パーセントまで下がった。これからしばらく日本国内の報道では、なぜ安倍総理の権力掌握と世論の支持が衰えたのか様々に論じられるだろう。今年は確かに失態続きだった。安倍総理は五輪開催の願望に取り憑かれ、東京が安全だと見せるために新型コロナウイルスの脅威を無視した。各家庭に2枚のマスクを配るという政策は、マスクが足りないときに計画されたが、高くついた失敗に終わった。マスクは小さすぎて汚れており、配られるのも遅かった。このマスクは日本語でアベノミクスのように聞こえる「アベノマスク 」として嘲笑された。アベノミクスとは金融緩和と財政再建という想像上の「矢」から成る安倍総理肝煎の財政政策であったが、再建は成らず政策は完全な失敗だった。
安倍総理は日本の「検査しなければわからない」というコロナ対策が素晴らしく上手くいったと主張したが、その後この対策は失敗し、感染率は再び急増した。これはGo To Travelという間違った英語名の旅行促進キャンペーンの実施を安倍総理が頑なに推進したことで拍車がかかった。このキャンペーンは結局、感染流行が再燃して多くの人がGo To Quarantine (検疫へ)という意味になってしまった。
安倍総理の人気を損なったのはコロナウイルス感染症流行への対応の失敗ではなく、感染症流行の最中に自分の権力を固めようと試みたことだった。ツイッターでは数ヶ月前に#さよなら安倍総理 というハッシュタグがトレンド入りした。
安倍総理時代の終わりの始まりは5月のとあるツイッター投稿だった。日本の主要メディアをコントロールすることにあれほどの労力を費やした首相がソーシャルメディアによって引き摺り下ろされたのは皮肉なことだ。
5月9日の夜、35歳の会社員の女性のツイートが世論の異議申し立てに火をつけた。普段は政治に関わらない日本のセレブや元検事らによってツイートの嵐は激化し、自民党員さえも異議を表明した。
ツイートの内容は些か単調なものだった。しかしその「検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグで、5月14日までに800万ものツイートが投稿された。
ここに至る伏線はこうだ。
安倍総理は徐々に政府機関や公共放送のNHK、そして報道機関に統制を加えるようになった。2014年には内閣人事局を設置し、何百人ものトップ官僚の任命に内閣が権限を持つようになった。野心的な政府職員は注意深くなり、以来、安倍総理の機嫌を損ねず気に入られるように努めてきた。安倍総理は直接自分が頼まなくても公務員が醜聞をもみ消すよう奨励した。またメディアに飲み食いの接待をして機嫌をとり、気に入らないことがあると容赦無く締めつけてきた。日本の報道の自由ランキングは安倍総理が首相になった当時は世界22位だったが、現在では66位だ。
コロナウイルス流行が始まった頃、安倍総理と自民党は非常時に内閣が絶対的権力を掌握できるような憲法改正に向けて画策した。その動きは失敗し、保守系雑誌の『プレジデント』でさえこれを火事場泥棒のようなあざとさと書いた。この夏、安倍総理が検察庁を支配下に置こうとしたのは、やりすぎもいいとこだったのだろう。
Fatally Wounded 瀕死の重症
検察官らに対する動きは1月31日、安倍総理内閣が日本で検事総長に次ぐ検察ナンバー2である黒川弘務検事長の定年延長を決定したときに始まった。黒川は安倍総理および菅義偉内閣官房長官に非常に近いと言われていた。報道は黒川を「安倍総理政権の守護神」と呼んだ。
検察官の大多数は法によって63歳で退官するよう求められているが、黒川は留任を許された。安倍総理はこれについて、定年延長を可能とするよう法律の解釈変更を行ったので問題なしと説明した。野党や法学者に加え、世論もこれには猛反発した。
行政は一歩も引かなかったが、後になって検察庁法の改正案を提出した。これが黒川を留任させ、検事総長を交代させるための道を開くことを後付けで正当化する措置とみなされた。
松尾邦弘元検事総長ら検察OBは法務省に対し、意見書を提出し、その中で、今回の法改正は安倍総理政権が検察を政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであると明確に表明した。意見書は「法が終わるところ、暴政が始まる」というジョン・ロックの言葉を引用していた。
安倍総理はこの法改正案を国会で擁護し、「内閣によって恣意的な人事が行われるという懸念はあたらない」と述べたが、世論調査ではわずか16パーセントの人しかその言葉を信じなかった。
例によって安倍総理は、これまでの評判の悪い法制定の時と同じように法案を強行採決するつもりだった。
5月18日には、安倍総理内閣の支持率は34パーセントにまで急落した。同じ日に自民党はこの法案審議を延期することに同意した。
その夜、600人を超える弁護士らが、桜を見る会のパーティー開催に公的資金を不正使用したとして、安倍総理に対する告発状を東京地検に提出した。
安倍総理の拙い判断には不運が続いた。週刊文春が黒川が記者と明らかに違法である賭け麻雀を常習していたことを報じた。黒川は訓告を受け、辞表を提出して辞職を認められた。
8年近く政権が続き、安倍総理は思い上がり、昨年には国会で「私が国家ですよ」と宣言した。安倍総理は長い間勝ち続けているが、運が永遠に続く人はいない。検事らを堕落させようとするこの法改正の企ては、戦争映画の大作のタイトル『遠すぎた橋』をもじると「遠すぎた法案」ということだろう。この法案は後に丸ごと廃案となった。
Already on Trial? すでに公判中?
安倍総理が直面する問題は現在行われている「桜を見る会疑惑」の捜査だけではない。
親しい友人であり支持者でもある人物の注目の公判に、安倍総理は引きずり込まれている。この6月、衆議院議員の河井克行被告(57)と妻で参議院議員の河井案里被告(46)は広島県で数百万円の現金を政治家や支持者に手渡した疑いで起訴された。これは2019年7月の参院選において票の取りまとめをした見返りであったとされている。安倍総理は2019年9月に河井克行被告を法務大臣に指名した。克行氏は10月31日に辞職した。
2人の公判は今週始まった。
自民党本部は河井案里の選挙運動資金として1億5千万円を提供しており、その一部は地元の政治家らが票の取りまとめをするよう買収するのに使われたのだろう。もし安倍総理自身が自民党総裁として巨額の資金提供を承認したのであれば、安倍総理は世間の注目を浴びるだろう。
元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏はデイリー・ビースト紙に次のように語った。「河井夫妻の公判では安倍総理の関与が示されることは、検察側の冒頭陳述から明らかだ。安倍総理自身が抜擢した前法務大臣が他の政治家の買収に深く関わるというのは常軌を逸している。もし安倍総理が刑事責任を回避できるとしても、この件に関して道義的責任を負う。」
郷原は、安倍総理が首相の職に留まることができないのは、この公判に巻き込まれるのかどうか、巻き込まれるとしたらそれはいつなのか、分からないことのストレスも一因であると見ている。
安倍総理の足元では3番目の火種、すなわち森友学園問題もくすぶっている。2017年、9億5600万円相当と評価された国有地が右翼の学校経営者に1億3400万円で売却されたことが明らかになった。この取引には安倍総理首相と妻昭恵からの催促があったとされる。そもそもその学校は安倍総理晋三記念小学校と命名されることになっていた。
このスキャンダルが明るみに出たとき、財務省官僚は安倍総理関与を隠すために文書の改竄を行った。国家公務員の赤木俊夫氏は言いなりになることを拒絶して2018年3月に自ら命を絶って抗議した。赤木氏は告発文を残し、それを今年になって妻が公開した。日本の世論の70パーセント以上が森友加計問題の再調査を求めている。
He didn’t learn 安倍総理は学ばない
安倍総理はこの夏、記者会見や国会審議の一切を避けて事実上1ヶ月に渡って姿を消していた。そして今、安倍総理は自分を取り巻くスキャンダルについて論じることを容易に避けることができる。安倍総理は今週、汚職事件への自らの関与について質問が出ないように時期を見計って公然と病院を訪れた。安倍総理が河井夫妻の公判開始の前日である8月24日に慶應大学病院を訪れたことで、世間の注目は事件への安倍総理の関与から安倍総理が首相を続けられるかに移った。
安倍総理の大逃亡はカルロス・ゴーン前日産会長の高飛びほど劇的ではないが、勇敢な大奮闘だ。
安倍総理は日本の憲政史上最長在任の首相となったが、これほどの長期政権でこんなにも成果がないのは前代未聞である。もし安倍総理がなんらかのレガシーを残したとしたら、それは数々の評判の悪い法案を成立させ、それが今や地雷のように存在していて、いつの日か日本のはかない民主主義を吹き飛ばしかねないということだ。その中にはSF映画の『マイノリティ・リポート』から抜け出してきたかのような共謀罪法、報道と内部告発者を弾圧して黙らせるための、ジョージ・オーウェルの世界を思わせる秘密保護法、そして表向きは平和主義的な日本が戦争を遂行できるようにする安保関連法がある。
現安倍政権は2006年から2007年の惨憺たる第一次安倍政権に続く2度目の任期だった。安倍総理が返り咲くことができたのは、右翼の神道カルトである日本会議の支持によるもので、日本会議は安倍総理以後も末長く国会においても強力な威力を発揮し続けるだろう
歴史を忘れるものはそれを繰り返す羽目になる、と言われる。おそらく安倍総理の愚劣さの根源には、本人が有名な歴史修正主義者であり戦争犯罪者の孫であること、そして第二次世界大戦時に日本が行った残虐行為を決して認めることができないでいることが挙げられる。安倍総理が指名した政治家や仲間の多くがヒトラーを称賛していた。安倍総理は躍起になって過去を否定しようとしてきたあまり、自分自身の歴史からすら学ぶことができないようだ。だから安倍総理の人生は失敗の繰り返しにしかすぎないなのだ。
安倍総理は2007年に辞めた時とほぼ同じやり方で官邸を去る。自分の取り巻きがらみのスキャンダルに足をとられて政権運営が覚束なくなり、人気もなく、無能で的外れだとみなされて去るのだ。
惜しまれることもなく。
Endless pot shots against a famous PM. As I have said repeatedly, show me one national leader — male or female — who didn’t commit some faux pas. It goes with the job. It’s virtually impossible to write a pure fiction or pure nonfiction book, and it’s similarly impossible to be a national leader of any nation without committing certain “peculiarities.” What did Gold Meir do after Munich? She ordered the killings of everyone involved. Good for her! Was that legal???
You’re arguing the classic whataboutism. It’s a juvenile means of discussing a point. “What about Hitler? Abe isn’t as bad a Hitler.” Yawn.